iDeCoは始めるべき?メリット・デメリットとNISAとの優先順位【月1万円の実例】
「iDeCoって、やったほうがいいの?」「NISAとどっちを先にすればいいの?」これから投資を始める方やiDeCoが気になっている人はこのように感じたことはありませんか?
iDeCoは、掛金が所得控除になるなど、税金の面で優遇された制度です。ただし、原則60歳まで引き出せない、受け取るときに税金がかかることが多いなど、NISAにはないデメリットもあります。
私は旧NISAと同じタイミングでiDeCoを始めて、今も月1万円だけ積み立てています。結論から言うと、優先するのはNISAで、iDeCoは「NISAを始めて、まだ余裕があれば検討する」くらいでいいと考えています。
この記事では、iDeCoの仕組みとメリット・デメリット、NISAとの優先順位を、わが家の実例とあわせて紹介します。
- iDeCoの仕組み
- iDeCoのメリットと、節税額の計算方法
- iDeCoのデメリット(注意点)
- NISAとiDeCo、どちらを先にするか
- 2026年12月の改正で変わること
iDeCoとは:自分で積み立てて運用する「自分年金」
公的年金に上乗せする、自分でつくる年金
iDeCo(イデコ)は、正式には「個人型確定拠出年金」といいます。国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せして、老後のお金を自分で準備するための制度です。
公的年金が「国が用意してくれる年金」だとすると、iDeCoは「自分でつくる年金」です。
掛金・商品・受け取り方を、自分で決める
iDeCoでは、次の3つを自分で決めます。
- 毎月いくら積み立てるか(掛金)
- 何で運用するか(投資信託や定期預金など)
- 60歳以降に、どう受け取るか(一時金か年金か)
掛金は月5,000円から、1,000円単位で決められます。運用の結果によって、受け取る金額は増えることもあれば、減ることもあります。
NISAと同じく「自分で積み立てて、自分で運用する」制度です。大きく違うのは、税金の優遇と、引き出せる時期です。
iDeCoのメリット:税金が3つの場面で優遇される
iDeCoのいちばんのメリットは、税金の優遇です。お金を「入れるとき」「増やすとき」「受け取るとき」の3つの場面で、税金の優遇があります。
①掛金が全額、所得控除になる
iDeCoに積み立てた掛金は、全額が所得から差し引かれます(所得控除)。そのぶん、所得税と住民税が安くなります。
NISAにはない、iDeCoだけのメリットです。積み立てているだけで、毎年の税金が戻ってくるイメージです。
②運用で増えた分に、税金がかからない
ふつうの証券口座で投資をすると、増えた利益に約20%の税金がかかります。iDeCoでは、運用で増えた分に税金がかかりません。ここはNISAと同じです。
ただし、この非課税は「受け取るまで税金がかからない」という意味に近く、受け取るときには、増えた分も含めて課税の対象になります(このあと説明します)。
③受け取るときに、控除が使える
60歳以降に受け取るときも、控除があります。一時金で受け取るなら「退職所得控除」、年金として受け取るなら「公的年金等控除」の対象になります。
ただし、会社の退職金がある人などは、受け取るときに税金がかかることが多くなります。くわしくはデメリットのところで説明します。
節税額の計算方法
掛金による節税額は、次の式でおおよそ計算できます。
節税額(年間)= 年間の掛金 ×(所得税率 + 住民税率10%)
所得税率は、課税所得(年収から各種控除を差し引いた金額)によって決まります。たとえば、課税所得が195万円以下なら5%、195万円超〜330万円以下なら10%、330万円超〜695万円以下なら20%です。
掛金が月1万円と月2.3万円の場合の節税額は、次のとおりです。
| 所得税率 | 月1万円 (年12万円) | 月2.3万円 (年27.6万円) |
|---|---|---|
| 5% | 年18,000円 | 年41,400円 |
| 10% | 年24,000円 | 年55,200円 |
| 20% | 年36,000円 | 年82,800円 |
※住民税は一律10%として計算した概算です。復興特別所得税は含めていません。
月1万円の積み立てでも、所得税率が10%の人なら、年2万4,000円ほど税金が安くなります。これを毎年続けられるのが、iDeCoの大きな魅力です。
iDeCoのデメリット:良い制度だが、注意点もある
ここまで読むと、「iDeCoはやったほうがいい」と感じるかもしれません。ただ、iDeCoにはNISAにはない注意点があります。始める前に、必ず知っておいてください。
原則60歳まで引き出せない
いちばん大きなデメリットは、原則として60歳まで引き出せないことです。
子どもの教育費、住宅の購入、急な出費。子育て中の家庭には、まとまったお金が必要になる場面が何度もあります。iDeCoに入れたお金は、こうした場面では使えません。
また、60歳の時点で加入期間が10年に満たない場合は、受け取りを始められる年齢が、最大65歳まで遅くなります。
手数料が毎月かかる
iDeCoは、口座を持っているだけで手数料がかかります。
- 加入するとき:2,829円(1回だけ)
- 積み立てている間:毎月171円以上
毎月の171円は、国民年金基金連合会と、事務を受け持つ信託銀行に支払う手数料です。これに加えて、金融機関によっては運営管理手数料がかかります(ネット証券の多くは0円です)。
掛金が少ないほど、手数料の負担は相対的に大きくなります。NISAは、ネット証券なら口座の管理手数料はかかりません。
受け取るときに、税金がかかることが多い
iDeCoは、受け取るときに控除が使えます。ただ、その控除は会社の退職金や公的年金と共通の枠です。そのため、会社員で退職金がある人は、受け取るときに税金がかかることが多くなります。
| 受け取り方 | 使える控除 | 税金がかからないケース | 税金がかかりやすいケース |
|---|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得控除 (20年加入なら800万円) | 会社の退職金がない・少ない 退職金と受け取る時期を十分にずらせる | 会社の退職金が多く、近い時期に受け取る |
| 年金 | 公的年金等控除 (65歳以上は年110万円) | 公的年金と合わせても、控除の範囲に収まる | 公的年金だけで控除を使い切る(会社員の多く) |
たとえば、会社の退職金がなく、iDeCoを20年間、月1万円で積み立てた場合、元本は240万円で、一時金なら800万円の控除に十分収まります。一方、会社の退職金で控除をほぼ使い切る人は、iDeCoの分がそのまま課税の対象になりやすい、ということです。
また、時期をずらすには長い間隔が必要です。iDeCoを一時金で先に受け取る場合、退職金との間を10年以上あけないと、控除が調整されて小さくなります(2026年1月から、5年→10年に延びました)。退職金を先に受け取る場合は、20年以上の間隔が必要です。現実には、時期をずらして控除をまるごと使えるケースは多くありません。受け取り方は、60歳が近づいたときにあらためて確認が必要です。
NISAは、受け取るときにも税金がかかりません。
収入がない人は、節税のメリットを受けられない
掛金の所得控除は、所得税や住民税を払っている人だからこそ受けられるメリットです。専業主婦(主夫)など、収入がない人がiDeCoに加入しても、所得控除のメリットはありません。
元本割れすることもある
iDeCoで投資信託を選んだ場合、値下がりして元本を下回ることもあります。定期預金などの「元本確保型」の商品も選べますが、その場合は大きく増えることも期待できません。
税金の優遇が大きいぶん、「引き出せない」という制約もしっかりある。iDeCoはそういう制度だと思っています。
NISAとiDeCo、どちらを先にするか
結論:NISAが優先でいい
NISAとiDeCo、どちらを先にするか迷ったら、NISAを優先してください。
2つの制度を並べると、違いがよくわかります。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| お金を引き出せる時期 | いつでも | 原則60歳以降 |
| 掛金の所得控除 | なし | あり(全額) |
| 運用で増えた分 | 非課税 | 非課税 |
| 受け取るとき | 非課税 | 課税の対象(控除はある) |
| 積み立てられる上限 | 年360万円 (生涯1,800万円) | 会社員は月2万〜2.3万円 (2026年12月から最大6.2万円) |
| 口座の手数料 | ネット証券なら無料 | 毎月171円以上 |
掛金の所得控除の点でiDeCoにも魅力があるように感じますが、受け取るときに課税されるケースが多くなります。ですので、いつでも引き出せることと、受け取るときも非課税で、難しいことを考えなくていいことから、NISAのほうを優先すべきだと思います。NISAのほうがシンプルで、余計な制限もありません。
子育て中は、この先いつ、いくら必要になるかが読みきれません。必要なときに使えるお金で資産形成を進めておくほうが、家計としては安心です。NISAなら、いざというときは売って使えます。
NISAを始めて、まだ余裕があれば検討する
iDeCoを検討するのは、次の2つを満たしてからで十分です。
- NISAで、毎月の積み立てを続けられている
- それとは別に、60歳まで使わなくていいお金がある
この2つを満たしているなら、iDeCoは節税しながら老後資金を準備できる、良い選択肢になります。逆に、NISAを始めていないなら、まずはNISAからで大丈夫です。
「iDeCoをやらないと損」ということはありません。NISAで積み立てができていれば、それだけでも十分な資産形成です。
わが家のiDeCo:月1万円だけ、増やさない理由
NISAと同じタイミングで始めた
私がiDeCoを始めたのは、旧NISAを始めたのと同じタイミングです。投資について勉強するなかで、税金の優遇がこれだけある制度なら、活用したほうがいいと考えました。
掛金は口座からの引き落としにしていて、掛金の所得控除は、毎年の年末調整で手続きしています。
ただ、NISAが改正されて新NISAとなり、1800万円の枠が使える今、iDeCoをやる意味は薄れたと感じています。なので、これからはじめようか検討されている方は、まずはNISAからという結論になります。
掛金は月1万円。増額は考えていない
掛金は、始めたときから月1万円のままです。
上限まで増やせば、そのぶん節税額も大きくなります。それでも増やしていないのは、わが家ではNISAを優先しているからです。60歳まで引き出せないお金は、月1万円くらいがちょうどいいと考えています。
2026年12月の改正で上限が大きく上がりますが、この考え方は変わりません。わが家では、増額はせずに月1万円を続ける予定です。
iDeCoは「老後のために、手をつけないお金」と割り切っています。引き出せないことも、私にとっては「使ってしまわない」というメリットになっています。
銘柄は一度だけ切り替えた
iDeCoでは、SBI証券で「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」を積み立てています。
始めたときは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を選んでいましたが、途中で全世界株式に切り替えました。NISAでS&P500を積み立てているので、iDeCoではアメリカ以外の国にも投資しておきたいと考えたからです。
「除く日本」なのは、SBI証券のiDeCoには、日本を含む全世界株式のeMAXIS Slimがなかったためです。iDeCoでは、金融機関ごとに選べる商品が決まっています。金融機関を選ぶときは、買いたい商品があるかどうかも確認しておくと安心です。
なお、iDeCoでは、積み立てている途中でも商品を切り替えられます。切り替えても税金はかかりません。
2026年12月の改正で、iDeCoはどう変わるか
iDeCoは、2026年12月に大きな制度改正があります。主な変更点は2つです。
毎月の上限額が大きく上がる
1つめは、毎月積み立てられる上限額(拠出限度額)の引き上げです。働き方ごとの上限額は、次のように変わります。
| 働き方 | 現在 | 2026年12月から |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランスなど | 月6.8万円 (国民年金基金などと合計) | 月7.5万円 (国民年金基金などと合計) |
| 会社員(企業年金なし) | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
| 会社員・公務員(企業年金あり) | 月2.0万円 (企業年金と合計で5.5万円まで) | 企業年金と合計で 月6.2万円まで |
| 専業主婦(主夫) | 月2.3万円 | 月2.3万円(変更なし) |
出典:厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」をもとに作成
特に、企業年金のない会社員は、月2.3万円から6.2万円へと大幅に上がります。新しい上限額は、2026年12月分の掛金(2027年1月の引き落とし)から適用されます。
70歳になるまで加入できる
2つめは、加入できる年齢の引き上げです。これまでは原則65歳になるまででしたが、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことなどを条件に、70歳になるまで加入して積み立てられるようになります。
上限が上がっても、NISA優先は変わらない
上限額が上がると、「もっと積み立てたほうがいいのかな」と感じるかもしれません。
ただ、上限が上がっても、iDeCoが原則60歳まで引き出せないことは変わりません。上限まで積み立てる必要はなく、NISAを優先したうえで、「60歳まで使わなくていいお金」の範囲で決めれば十分です。
iDeCoを始めるときの流れ
iDeCoを始めるときの流れは、次のとおりです。
- 金融機関を選ぶ(手数料と、買える商品を確認する)
- 金融機関に申し込む
- 掛金と、積み立てる商品を決める
- 年末調整(または確定申告)で、所得控除を受ける
会社員の場合、以前は勤務先に「事業主の証明書」を書いてもらう必要がありましたが、2024年12月から不要になりました(掛金を給与天引きにする場合を除く)。今は、自分だけで申し込みを進められます。
掛金を口座から引き落としにしている場合は、毎年秋ごろに国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。これを年末調整のときに勤務先へ提出すると、所得控除を受けられます。
金融機関は、運営管理手数料が0円で、低コストの投資信託がそろっているネット証券が選ばれやすいです。証券会社の選び方は、こちらの記事で比較しています。
わが家が使っているSBI証券のiDeCoは、こちらから確認できます。
まとめ
- iDeCoは、税金が3つの場面で優遇される「自分年金」
- 掛金が全額所得控除になるのは、NISAにはないメリット
- 一方で、原則60歳まで引き出せない・受け取るときに税金がかかることが多い、などの注意点がある
- 優先するのはNISA。NISAを始めて、まだ余裕があれば検討するくらいでいい
- 2026年12月に上限額が上がるが、上限まで積み立てる必要はない
iDeCoは、良い制度です。ただ、良い制度だからといって、誰もがすぐに始めるべきとは限りません。
まずは、iDeCoの仕組みと、メリット・デメリットの両方を知っておくこと。そのうえで、NISAの積み立てが続けられていて、60歳まで使わなくていいお金があるなら、iDeCoを検討してみてください。
わが家は月1万円だけ。NISAを優先しながら、無理のない範囲でiDeCoも使っています。
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